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執筆者の写真Shigehiro Kuraku

理想の保存方法は?

更新日:2024年12月18日

種々の学会参加や研究会主催もさることながら、海外のある選考への協力のための色々にかかりきりになっていましたが、それが済み、ある程度落ち着きました。


さて、タイトルは、生物試料の保存についての話題です。現実には色々制限があるのですが、いま使える技術や今後さらに安価になるデータ取得の可能性を考慮した試料の残し方を考えていく大きな余地があると思っています。


「DNA用にはちゃんととってある」といっても、エタノールで常温保存でよいのでしょうか?


こんな試料からもDNAはとれます、と謳う文献・情報はたしかにあるのですが、それは、既存の標本等の利用のことを想定しているのであって、いまからサンプリングするものについては、どういう残し方がよいかを原点に戻って考える余地が大いにあると思っています。


オルガネラ(動物ならミトコンドリア)のDNA配列の一部をPCRで確認するくらいならエタノール保存などでもちろんよいのですが、

  ・全ゲノムDNA配列

  ・クロマチンコンタクト(これはゲノム情報を染色体規模に組み上げるのにもつかわれる)

  ・いわゆる「エピジェネティッククロック」に基づいた年齢推定のためのDNAメチル化

についての情報取得を満足に実現するためならどういう保存方法が妥当か検討をすることが、試料が集約されるような機関では重要なはずです。いま解析できなくても、のちにどのような情報の取得が可能になるか、これを最大限考慮したいものです、もちろん最少の負担で。


12月12・13日に開催した研究会では、当ラボが主導するSqualomixコンソーシアムとして作成した試料保存ガイド(下記)について、少し触れました。究極的に最適な保存方法は生物群によって異なるでしょう。ときに唐突に生じるサンプリング機会に、ご提供元(例、水族館)にいつも口頭でお伝えしているようなことをひとまず文字にしたものに過ぎません。意見をいただきながら、多様な状態の試料に対応できる汎用的なガイドにしていくことができればと思っています。



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