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は虫類と鳥類の関係

  • 執筆者の写真: Shigehiro Kuraku
    Shigehiro Kuraku
  • 12 時間前
  • 読了時間: 3分

更新日:11 分前

は虫類のさまざまな系統の中で、とくにカメの系統的な位置についてはさまざまな議論がありました。その議論が落ち着いたのは、DNA情報に基づく分子系統解析の結果が揃ってきた頃、2005~2010年くらいの時期であったと思います。鳥類とワニ類はあわせて主竜類と呼ばれますが、これとカメ類が近いという関係が広く受け入れられるようになりました(下図)。対して、トカゲ類やヘビ類はより遠い関係になります。

図 広く受け入れられるようになった現存のは虫類・鳥類の系統関係。便宜上、ヤモリやムカシトカゲは含めていない。また、枝の長さは進化距離を反映していないことに注意。
図 広く受け入れられるようになった現存のは虫類・鳥類の系統関係。便宜上、ヤモリやムカシトカゲは含めていない。また、枝の長さは進化距離を反映していないことに注意。

上記の時期というのは、分子系統学的解析の結果が核ゲノム上の複数の遺伝子についてまとまって得られた時期です(例、Iwabe et al., 2005)。通常、分子系統樹推定は、いわゆるユニバーサルプライマーが設計しやすく、また、コピー数が多いために増幅しやすいミトコンドリアDNA断片やリボソームDNAの配列を対象に最初は行われます。それだけでは心もとないということで、次に、数は限られていてもデータベースに入っている、あるいは、自分でクローニングして決定した核ゲノム上の配列を調べようというのが、よくある流れです。そして、そのあと全ゲノム情報に基づく分子系統解析が行われるという順序になります。カメの系統的位置については、全ゲノム情報に頼るまでもなく信頼できる結果が得られたと認識しています。つまりDNA情報が乏しかっただけで、いざ情報を揃えて調べてみれば明白、という問いでした。いっぽうで、多くの無脊椎動物門の関係のように、全ゲノム情報に基づく解析が行われて初めて信頼できる結果が得られた、という問いや、そこまでしてもまだ解けない、という問いもあります。


核ゲノム上の遺伝子を選んで種の系統関係に迫る分子系統解析を行う際、重複や欠失、そして進化速度の大きな変化を経験していない遺伝子を選ぶ大きな余地があります。論文では触れられていないことが多いですが、ほか工樂が関わった脊椎動物の主要系統を対象にした解析でも(円口類の解析魚類大系統の解析)、遺伝子の選定に多大な注意を払って、少ない数の遺伝子だけでゲノム全体の傾向を反映したより信頼性の高い結果を得ようと取り組んだものでした。


全ゲノムシークエンスを行うことを、「ゲノムを開ける」と表現している場面に時々でくわします。特定の分野で聞く気がしますが、はたして、それまでは「閉じられて」いるのでしょうか?全ゲノム情報を得ようとする前から、特定の遺伝子は狙ってクローニングされていて、そこからゲノムの傾向が垣間見られていることもあります。大金を投じなくても、ゲノムの一部はすでに「開いていて」、そこから全体の風景を想像することこそ醍醐味、と思わないでもありません。この感覚は、全ゲノム情報を得た後に行う解析のデザインに活かされる気がします。

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