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執筆者の写真Shigehiro Kuraku

2025年春までの発信予定

いくつか文字にしたい話題をまだ発出できていませんが、直近のものを含め、ラボとしての発信機会や工樂の講演などの予定をリストしておきます。


・1月18日(土) 遺伝学講座みしま(遺伝学普及会・三島市連携イベント)にて

          一般の方向けポスター発表「三島で進めるサメとエイの分子進化学研究」


・1月28日(火) 大阪大学微生物病研究所にて

               (同日続けて当研究室助教の川口茜さんのセミナーもあり)


          口頭発表「核型構成のDNA情報学:脊椎動物を俯瞰して」


・3月15日(土) 日本生態学会第72回全国大会にて


一般講演「日本の絶滅危惧種のゲノム情報の集積状況ーいま手を打つべきなのはどの種か?」


キリルクリュコフ(情報システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設)、中濱直之(兵庫県立大学、兵庫県立人と自然の博物館)、工樂樹洋(国立遺伝学研究所、総合研究大学)


種の存続の鍵を握る遺伝的多様性を正確に把握するうえで、全ゲノム配列の読み取りは大前提となる。DNA配列はまた、その生物種の生態・形態・行動の特徴を決める分子基盤についての情報も含んでいる。この両方の意味で、全ゲノム情報の読み取りは生物多様性の理解に不可欠だが、これまでに手がつけられた種はほんのひと握りである。そこで我々は、日本に生息する野生生物のうち、希少とされる種に注目し、全ゲノム情報の集積状況を一覧できるデータベース Genome sequence data availability for the Japanese Red List (https://treethinkers.nig.ac.jp/redlist/)を構築した。このデータベースは、「環境省レッドリスト2020」と「環境省版海洋生物レッドリスト」において希少とされる種について、NCBIの全ゲノム配列情報の登録状況をカタログ化したもので、まとめられた情報は、ウェブブラウザ上で一元的に閲覧可能である。分類単位ごとの集積状況も一目で確認することができ、世界各地から日々登録される新しい情報を反映するため、高頻度で表示内容を更新する機能も備えている。ゲノム情報の読み取りには、長鎖DNAの抽出やDNA分子の核内3D構造の捕捉に適した試料の確保だけでなく、広範な利用に耐える配列情報を整備する技術力が必要である。数々の技術革新と最適化によってコストや計算にかかる時間が削減されたとはいえ、ゲノムの総塩基数に応じてときに数百万円の費用がかかるうえ、専門技術を有する人員の労力も少なくない。そういった制限のある中、着実に情報集積を進めるため、海外には国の主導で土着の生物種の優先度を整理し、先制的にゲノム情報取得を進めているケースも少なくない。本データベースは、こういった取り組みを日本で進めるにあたり、集積された情報の偏りを把握したうえで優先度を見極め、先制的に情報を効率よく取得する道しるべになると期待される。


これ以外の予定も決まればここに追記します。


そういえば、Blueskyでも発信をしています。 @kurakulabmsm.bsky.social



※以前にも書きましたが、未公表データを含む発表の内容や会の参加者のみに向けた要旨など(とくに工樂以外のラボメンバーによる発表の)は、むやみに垂れ流さないようにしています。



三島スカイウォーク脇の展望台から吊り橋や富士山を横目に「沼津アルプス」を望む



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